0093 柔道龍虎房

〜キネカ大森にて〜
食事シーンがまたイイ!

今日は遠路遥々大森までやって参りましたよ。目指すはキネカ大森というスーパー(西友)の中にある香港映画が得意な映画館です。この映画館は手作り感溢れる展示物が得意で上映の映画のロケ地マップなどを張り出したり、香港明星(スター)の写真が豊富だったりと特色があってかなり好きな映画館のひとつです。

昨日の「姿三四郎」を観たのは正にこの「柔道龍虎房」を観るための前座だったのでした。だって宣伝コピーが「泣いてもいいから前を見ろ!“姿三四郎黒澤明監督に捧ぐ」ですからね。
いやあ、危ないところでしたね。まだ来週ぐらいまで上映していると思っていたら今日が上映ラスト日とのこと。慌てて予定を変更し(「ジャケット」を観る予定でした)、大森へ。気がついてホント良かったですよ、かなり面白く楽しめた映画でしたから。

「柔道龍虎房」は「ザ・ミッション/非情の掟」「ヒーロー・ネバー・ダイ」などで知られるジョニー・トー監督の柔道青春アクションドラマです。まあ青春というのはオーバーですかね、登場人物のどいつもこいつも30、40過ぎのオッサンばっかだし。簡単に言えばとある駄目男(なぜ駄目なのは理由があるのですが)の人生再起ストーリー。

この香港映画には功夫も銃も麻薬も黒社会も出てきません(気のいいヤクザは出てきますが)。出てくるのは柔道をする奴らばかり。とある飲み屋で乱闘騒ぎになるシーンがあるのですが、乱闘者全員が一本背負いや腕ひしぎなどを掛け合うという不思議な格闘シーンでフツーに観たら違和感のある画だとは思います。ですがそこはやはりジョニー・トーの為せる業なのでしょうな。それまでの人物描写と構成が巧い為あまり気にならんのです。またその人物描写ですが、具体的な説明をするわけでもなく映画を観続けていればその人物の行動などで自然とどういった人間か理解できるという作りでこの辺をサラッ演出できるんですから流石ですね。

パンフにも書いてありましたが、内容は結構ベタな話でやってることもベタ。ですが丁寧でかつその登場人物を魅力的に描くことで気にならず、純粋にストーリーに没頭できます。ホロリとさせるシーンもイイですよー。

また「PTU」でも印象的だった夜のスポット照明シーンも健在。とても魅力的に香港の夜の街並みを醸し出しています。ああ、香港行きてー。

アーロン・クォックはまあ当然として、主役のルイス・クーいう俳優が相当良かったですね、カッコイイし、演技も上手い。初めて見た俳優だったのですがかなり私の心をつかみました。ジョニー・トーの新作「黒社会」にも出演しているとのことなので期待大。「黒社会」の日本公開は来年とのことのようなので少々残念ですが、首を長くして待つ楽しみがまた増えました。