0096 ポセイドン

〜MOVIX亀有にて〜
それでもカート・ラッセルの役はおいしい


ポセイドンは予告上映時からかなり期待していた映画でした。もちろん「ポセイドン・アドベンチャー」自体も好きな映画ということもあったのですが、カート・ラッセルが主演ということが大きかった気がします。
ただちょっと不安だったのが90分強という上映時間。通常、映画は90分ぐらいが理想とする私なのですが、いわゆる“大作”というジャンルに当てはまっても良いハズの映画でしたからね、これは。長けりゃイイってもんではないとは思いますが、大作ならば覚悟して観ようと腹をくくっていたのでちょっと不安めいたものを感じていたのは事実でした。

で、結果なんですがなんともビミョーな映画だと感じてしまいましたね。
次から次へと襲ってくる困難に主人公たちが乗り越えて行く様をゲーム感覚で観ていく(観せられる)映画です。そのテンポは恐ろしいくらいスピーディーでダレないのでテーマパークのアトラクションとして楽しむには完璧です。
だけど、それだけの映画なんだよなあ、2回観よう、DVD買おうとは全く思わない。完全にドラマ性はほぼゼロと言って良いでしょう。またそれぞれ特徴あるキャラクター設定がされてはいるのですが(元消防士のNY市長とか船の設計士とか直感に頼るギャンブラーとか)でほとんどそれが生かされていない、要は誰でも良い設定。この“ドラマ性ゼロ・無意味なキャラクター”…という2点がこの映画に致命的なダメージを与えています。つまり感情移入が出来ないのです。出演キャラクターと一体となって映画を愉しむという行動を観客が取れないというのはこの手のパニックアクション映画としては失格なのではないでしょうかねえ。

VFXなどは流石に素晴らしく、船が横転するあたりまでは興奮しっぱなしだったのでそこら辺も重視していただけたら…と思うと誠に残念でありました。ま、ドラマ性よりもスピーディーな展開を取ったウォルフガング・ペーターゼン監督の意向だとは思いますがね。