0097 ブロークバック・マウンテン

〜渋谷シネマライズにて〜
豆が食べたくなる映画

危ないトコでした。この「ブロークバック・マウンテン」、前売り券を買ったまま、すっかり観るのを忘れていました。たまたま部屋の整理をしてたら前売り券が出てきまして、調べたら来週いっぱいで終了とのこと。観たい欲もほとんど無くなっていてあまり乗り気ではなかったのですが、もったいないオバケに出現されるのも困るので雨の中、渋谷まで出かけることとなりました。

「あー、改めて私の感受性というのは人より劣っているのかなあ」と思った映画でしたね。この映画はアカデミー監督賞をはじめ数々の賞を受賞しており、ネットを覗いても「感動した」、「溢れてくる涙が止まらなかった」など賛辞の嵐が吹きまくっています。ところが私には何の感動も訪れず、むしろ不満が残り「大した話じゃないのに長げー映画だなあ」とイラついた映画となってしまいました。

というのもヒース・レジャー扮するイニスとジェイク・ギレンホール扮するジャックという二人のカウボーイが主人公なのですが、この二人がお互い惹かれあってを好きになっていく過程がいまいち伝わってこなかったからなんですね。映画のあらすじや説明を読むと“山で羊の放牧をすることになった対照的な二人の男が深い友情を築いていく。そしてその友情がある晩、友情を超えたものに変わっていく…”というよなことが必ず書いてあります。だけどそんなに友情を育むような描き方じゃなかったような気がしたんですね。二人の友情というものすら映画からは感じることはできませんでした。

肉体関係になってしまった後は無邪気なものでしたけどね。セックスから始まる愛というものは勿論否定するつもりは全く無いのですが、肉体関係が始まってからの二人の描写もなんかよく分からない。というかとにかくイニスがジャックのどこが好きだったのかというところが分かれば少しは納得して観れたんですがね。「全部が好きだった、愛に理由は無い」と言われちゃうと何も言うことは無くなりますが…。

ジャックは思ったことをハッキリ言い当時としてはかなり先進的な面を持ち、イニスは昔ながらの慣習に捕われ自分のした行為自体、社会にバレることを極度に恐れている、が故自分の思ったことを正直に口に出来ないという設定も理解したつもりなんですけどね。どうしても最初の結ばれるシーンが友情とか愛情抜きの肉欲丸出しに見えてしまったモンで。

とにかく友情が愛に変わっていく過程をしっかり見て禁断の愛、切ない愛というものを納得したかった私としてはそこの描写が予想していたものと違っていたので出だしから躓いてちょっと遠い眼で観る事になってしまい最後までついていけなくなったという訳です。

話はイマイチしっくりこなかったこの映画でしたが、映し出される大自然の風景はとても素晴らしいものでした。こんな大自然を独り占めできるアメリカはいいよなあとウットリできた事は唯一の慰めでしょうか。

ま、今回は勝手にあらすじを読んでイメージしてしまった私が悪かったということで今日はご勘弁のほどを。

0096 ポセイドン

〜MOVIX亀有にて〜
それでもカート・ラッセルの役はおいしい


ポセイドンは予告上映時からかなり期待していた映画でした。もちろん「ポセイドン・アドベンチャー」自体も好きな映画ということもあったのですが、カート・ラッセルが主演ということが大きかった気がします。
ただちょっと不安だったのが90分強という上映時間。通常、映画は90分ぐらいが理想とする私なのですが、いわゆる“大作”というジャンルに当てはまっても良いハズの映画でしたからね、これは。長けりゃイイってもんではないとは思いますが、大作ならば覚悟して観ようと腹をくくっていたのでちょっと不安めいたものを感じていたのは事実でした。

で、結果なんですがなんともビミョーな映画だと感じてしまいましたね。
次から次へと襲ってくる困難に主人公たちが乗り越えて行く様をゲーム感覚で観ていく(観せられる)映画です。そのテンポは恐ろしいくらいスピーディーでダレないのでテーマパークのアトラクションとして楽しむには完璧です。
だけど、それだけの映画なんだよなあ、2回観よう、DVD買おうとは全く思わない。完全にドラマ性はほぼゼロと言って良いでしょう。またそれぞれ特徴あるキャラクター設定がされてはいるのですが(元消防士のNY市長とか船の設計士とか直感に頼るギャンブラーとか)でほとんどそれが生かされていない、要は誰でも良い設定。この“ドラマ性ゼロ・無意味なキャラクター”…という2点がこの映画に致命的なダメージを与えています。つまり感情移入が出来ないのです。出演キャラクターと一体となって映画を愉しむという行動を観客が取れないというのはこの手のパニックアクション映画としては失格なのではないでしょうかねえ。

VFXなどは流石に素晴らしく、船が横転するあたりまでは興奮しっぱなしだったのでそこら辺も重視していただけたら…と思うと誠に残念でありました。ま、ドラマ性よりもスピーディーな展開を取ったウォルフガング・ペーターゼン監督の意向だとは思いますがね。

0095 ジャケット

〜東劇にて〜
子供に手出しちゃイカンだろ

えー暫く映画を観ておりませんでした、ここ一週間ばかり。まあその原因の全てといえばbio4。そうバイオハザード4(GC版)を買ってしまい、プレイしまくっていたからなのです。もちろんヘタレの私はイージーモードでのプレイでありましたが、コイツはエラく面白すぎるゲームでした。もう寝るのも忘れるくらい没頭しちゃいましたね。おかげで遅刻するは風邪をひくは散々な目に遭わされましたが、とても充実&満足させてくれたゲームでゲームへの熱がぶり返しそうで怖いです。まったく困ったモンですよ。

とりあえずバイオハザード4もクリアしたということで今日は「ジャケット」を観に行きました。
タイトルでもある「ジャケット」、この映画では拘束衣のことを指しています。その拘束衣を着せられて真っ暗闇の死体用ロッカーに数時間放置されられるという精神病治療を受けたことにより、15年後の世界を体験することができるようになった主人公が6日後に現実となる“自分の死”の原因を探るというサスペンス映画。そこにラブロマンスの要素も取り入れて…というようななんとなく昨年同じ東劇で観た「バタフライ・エフェクト」に似たような内容の映画です。ですが出来は遥か及ばないツクリでしたね。ま、「バタフライ・エフェクト」が完璧な映画だけだっただけかもしれませんけど。

“納得できる行動がほとんど無い”、“思わせぶりなシチュエーションなのに結局何も無いという設定”だったのがイタかったですかね。要は6割くらいの完成度なんですよ。もう少し細かいディテールとか丁寧に話を作り込んでいけばカナリな映画に化けたかもしれなかったのにのに…。惜しい映画です。

それにしてもエイドリアン・ブロディという俳優は優しい顔をさせたら一級品ですな。この映画でもその人の良さそうな雰囲気が大量に出ていて、大変癒されました。

0094 悪い奴ほどよく眠る

〜DVD(レンタル)>TV〜
久々に興奮しました

余韻がズシーンと凄い残る映画に出会う時ってたまにありますよね。今日観た黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」が正にソレでした。もの凄い映画です!40年以上前の作品なのに!(<こればっかですね最近:笑)生意気ですが黒澤明が巨匠と呼ばれるのは当然だと改めて感じました。

この映画は政官民が絡む汚職事件をテーマとしその背景で蠢くそれぞれの登場人物をサスペンスタッチで描いていきます。ってこれ位しか説明したくないんですよ。ちょっとでも何か書くとこの映画の面白さが失われる気がして。それくらい何の予備知識も無くこの映画を楽しんでもらいたいですね。

ストーリー進行や構成も素晴らしく無駄が一つも無い、登場人物それぞれの人間関係・背景・心情などの設定も言う事無く、カットや照明の当て方ひとつとっても付け入る隙を与えません。2時間半もの映画ですが全くダレる事無く、逆にその展開にハラハラしっぱなし。もう完璧でした。いやあ全く良いものを観せていただいたと感謝せずにはいられませんでしたよ。

爆発・銃撃シーンの多い映画が好きな私がいうのもおこがましいですが、これは必見の映画ですね!









ネタバレになってしまうかもしれませんが、ラストは陰湿というか独特の後味の悪さが残ります。「隣人は静かに笑う」みたいなラストが嫌いな方にはオススメはしませんのであしからず。

0093 柔道龍虎房

〜キネカ大森にて〜
食事シーンがまたイイ!

今日は遠路遥々大森までやって参りましたよ。目指すはキネカ大森というスーパー(西友)の中にある香港映画が得意な映画館です。この映画館は手作り感溢れる展示物が得意で上映の映画のロケ地マップなどを張り出したり、香港明星(スター)の写真が豊富だったりと特色があってかなり好きな映画館のひとつです。

昨日の「姿三四郎」を観たのは正にこの「柔道龍虎房」を観るための前座だったのでした。だって宣伝コピーが「泣いてもいいから前を見ろ!“姿三四郎黒澤明監督に捧ぐ」ですからね。
いやあ、危ないところでしたね。まだ来週ぐらいまで上映していると思っていたら今日が上映ラスト日とのこと。慌てて予定を変更し(「ジャケット」を観る予定でした)、大森へ。気がついてホント良かったですよ、かなり面白く楽しめた映画でしたから。

「柔道龍虎房」は「ザ・ミッション/非情の掟」「ヒーロー・ネバー・ダイ」などで知られるジョニー・トー監督の柔道青春アクションドラマです。まあ青春というのはオーバーですかね、登場人物のどいつもこいつも30、40過ぎのオッサンばっかだし。簡単に言えばとある駄目男(なぜ駄目なのは理由があるのですが)の人生再起ストーリー。

この香港映画には功夫も銃も麻薬も黒社会も出てきません(気のいいヤクザは出てきますが)。出てくるのは柔道をする奴らばかり。とある飲み屋で乱闘騒ぎになるシーンがあるのですが、乱闘者全員が一本背負いや腕ひしぎなどを掛け合うという不思議な格闘シーンでフツーに観たら違和感のある画だとは思います。ですがそこはやはりジョニー・トーの為せる業なのでしょうな。それまでの人物描写と構成が巧い為あまり気にならんのです。またその人物描写ですが、具体的な説明をするわけでもなく映画を観続けていればその人物の行動などで自然とどういった人間か理解できるという作りでこの辺をサラッ演出できるんですから流石ですね。

パンフにも書いてありましたが、内容は結構ベタな話でやってることもベタ。ですが丁寧でかつその登場人物を魅力的に描くことで気にならず、純粋にストーリーに没頭できます。ホロリとさせるシーンもイイですよー。

また「PTU」でも印象的だった夜のスポット照明シーンも健在。とても魅力的に香港の夜の街並みを醸し出しています。ああ、香港行きてー。

アーロン・クォックはまあ当然として、主役のルイス・クーいう俳優が相当良かったですね、カッコイイし、演技も上手い。初めて見た俳優だったのですがかなり私の心をつかみました。ジョニー・トーの新作「黒社会」にも出演しているとのことなので期待大。「黒社会」の日本公開は来年とのことのようなので少々残念ですが、首を長くして待つ楽しみがまた増えました。

0092 姿三四郎

〜DVD(レンタル)>TV〜
相撲取りには勝てたのだろうか?

黒澤明のデビュー作「姿三四郎」を観ましたよ。1943年の作品。凄いなあ、63年前の映画だなんてねぇ。

当時のベストセラー柔道小説の映画化だったようです。昔の映画なので案の定、聞き取りにくいシーンが多いのですが、それほど複雑な話では無かった為、大体ストーリーは理解できました(単純なお話ですからね)。それと途中で注釈の入るところが当時検閲されてカットされたシーンなんですかね。三四郎とお師匠さんの特訓シーンは是非、観てみたかったです。

ま、昔の映画、それも戦中の古い映画なので、今の映画と比べたら(…比べることすらナンセンスですが)そりゃ観ずらいし聞き取りずらいしストーリーも単純でツマラナイかもしれませんが、画の見せ方や構図は流石だなあと思いますね。今でいうところのスタイリッシュって奴だと思うんですよね。そんなに昔の映画を観たことは無いのであくまでも憶測なんですけど。

キャラ立ても分かり易くて上手ですよね、純朴で天然ぎみなどすこいキャラの姿三四郎とクールでニヒルな二枚目キャラのライバル檜垣。この月形龍之介演ずるライバル檜垣がとてもカッコよかった。また途中、三四郎と闘う柔術使い村井役の志村喬もいつものホンワカキャラで安心できました。

0091 ビデオドローム

〜DVD(レンタル)>TV〜
ヒロシマビデオに就職したい!

一応は観ておくかということで「ビデオドローム」を借りてきました。

噂どうり訳の分からない映画でした。監督のクローネンバーグでさえ、よく分かってないとのことですからストーリー云々よりもその独特の感覚を愉しんだ方が良いのでしょうね。特にこれといった感想も無かったです。「ああ、昔はこういった映画があったんだね」ぐらいにしか思いませんでした。別につまらないという訳でも無いんですがね。

時間がもったいないのでもう一度観たいとは思いませんが、こんな有って無いようなお話を映画でそれなりに鑑賞に耐えられる作品として作り上げれるんですから、やっぱり監督のクローネンバーグって大した者だなあとは思いましたね。でもホントそれだけの映画でした。